おじんのPORSCHE と どんぶらこっこ

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2016年 01月 26日

その昔、多くの人が”清貧”の中に生きてました

最近 涙腺の弱くなったジジイには・・・・


たまには こんな話題も・・・・



その昔、多くの人が”清貧”の中に生きてました _c0084268_1881991.jpg




戦時中のお話です。

どの家庭も当たり前のように食料不足の時でした。

Kさんのお宅は、お母さまとお姉さんと少年だったKさんの三人家族。

お兄さんが、学徒出陣で飛行隊に配属されていました。

今度の日曜日には、初めての面会日という時でした。

満足に食べるものの無い時期でしたが、
お母さまはお兄さんに、せめて大好きなぼた餅を食べさせたかったのです。

知り合いの農家に頼み、モチ米と小豆を手に入れるつもりだったのに、
お母さまは急病になり、それが出来ずに一人落ち込んでいました。

見かねたKさんが学校を休んで、お母さんの代わりに行くことにしました。

以下、Kさんの手記からの抜粋です。




代役を無事に果たして、心も軽く家路へと急いでいたその時であった。

「コケ、コケ、コケッコ」

一瞬、めんどりの激しく泣き叫ぶ声が、道端の農家から聞こえてきた。

卵を生んだよと知らせている声である。

兄ちゃんはゆで卵が好きだったな、
よし、譲ってくれるよう頼んでみよう、
と私は勇気を出して格子戸を開け、何度となく声をかけたが、
家の中はひっそりとして返事が無い。

仕方なく帰りかけて、ふと鳥小屋を覗いてみると、
生みたての卵が二つ箱の中に納まっていた。

私は夢中で、卵を右と左の手のひらにつかんで、
田のあぜ道を横切り、駅へと突っ走っていた。

「卵の一つや二つ、あの家の人は、何とも思いやしないさ」

後ろめたい気持ちをかき消そうと、無理に自分を納得させ、
意気揚々と帰ってきた。

得意満面に語る私の目の前で、母は悲しい目をして卵を見ていた。

そして、私を激しく叱りつけた。

卵を盗んだのは悪い、でも兄に食べさせたい気持ちは、
母と同じなのだから、叱られるはずはないと思っていた。

「みんな私が悪いの。こんな体でなければ、
 あの子に盗みなどさせずに済んだのに。
 あの子の優しさを考えると、本当は嬉しかった。
 私だって、お兄ちゃんの喜ぶ顔を見たさに、
 同じことをしたかもしれない。
 そう思うと、あんなに叱ったのは酷だったかもしれない。
 でも人を喜ばせるためなら、悪いことをしてもいいという
 間違った考えを、今教えてやらなければ、
 後で取りかえしがつかなくなると思ったの、だから…」

その後は言葉にならず母は泣いた。

「ね、お母さん、明日、マーちゃんと一緒に、
 この卵を返しにいってくる、
 話せばきっと相手の人も判ってくれるわ」

翌朝早く、姉にせかされて家を出た。

「気をつけてね」

病床から抜け出して、玄関まで送ってくれた母は、
何気ない仕草で、私の学生服の襟をなおしてくれた。

「ごめんね」と詫びているような母の手の温もりに、
なぜか涙がこみあげてきそうだった。

到着した家の前で、姉は私を待たせ、
顔をこわばらせて中に入って行った。

まもなく姉に呼ばれ、私は恐る恐る家の敷居をまたいだ。

土間に据え付けたかまどの前に、
この家の主人らしき男が背を向けて藁をくべていた。

薄汚れた手ぬぐいで頬っかぶりして、半てんをひっかけている姿を、
パッと上がる火が映し出していた。

こちらを振り向く前に、私は土間に手をつき、
泣きながら自分の非を詫びた。

それでも男は動こうとも、しゃべろうともしなかった。

もう私は、押しつぶされそうな重苦しさに耐えるのがやっとだった。

突然、男が立ち上がった。

顔中無精ひげだらけの大きな体だった。

私はじっと目をつぶって体をこわばらせた。

びくついている二人の目の前に、
男は、茶碗二個を乗せたおひつと鉄鍋をどかっと置いた。

「食え」

二、三度顎をしゃくりあげると、背を向けて藁を燃やし続けた。

姉と私は、鉄鍋に入っている味噌汁をかけて食べた。

久しぶりに腹いっぱい食べて満足した私は、
卵のことなど忘れていた。

「なあ、ぼうず、姉ちゃんから話はすっかり聞いた。
 姉ちゃんも立派だけど、ぼうずのお母はもっと立派だ。
 もう心配かけるでねえ」

初めて聞くこの家の主人の言葉は温かく、胸にじんときた。

謙虚な笑いは、今でも心の中に残っている。

主人は、返した二つの卵を五つにしてくれた。

そして、兄と母へ、柿の実とざくろの実を添えてくれたのだった。

帰り道、私は嬉しくて、もう一度卵を取り出して見た。

ほんのりと赤味のある卵が主人の優しい心を映しているようで、
尊く輝いて見えた。

今度こそ、母に喜んでもらえる卵を差し出すことが出来ると思うと、
私は姉の呼び止める声を後ろに聞きながらも、
全速力で駅へと駆け出していた。





ええ話しですねぇ!!

by yoshi550ojin | 2016-01-26 18:09 | その他 | Comments(10)
Commented by hiro356 at 2016-01-26 18:22 x
ヨッちゃ~ん 毎度。
エロだけじゃ~無く、イイお話を!
ジジイになると涙腺が弱くなるね~・・・(笑)
ボクも子供の頃の真っ白な気持ちに成って頑張ります!
Commented by CARRERA at 2016-01-26 18:59 x
Why?????

どう なすたんでっか?
Commented by siro-chameleon at 2016-01-26 21:00
こんばんは。
いい話ですね、優しさと真っ直ぐな少年の心になぜか仕事仕事の頭から少し解放された気がします。
いつもと違った記事ですが何かあったのでしょうか?

Commented by bass-papa55 at 2016-01-27 08:51
おはようございます、私の ガキの頃と同じです 思い出すと泣けて来ます。
涙腺は確かに 緩んできてます 直ぐに ジャジャ漏ですなぁ〜。

路線変更? 風邪で 熱でも 出たの チョット心配 風邪で無かったら MRI 行きまひょ。
Commented by yoshi550ojin at 2016-01-27 11:12
Hiroちゃ~ん  毎度(^^♪

偶には真面目な話題をって思ってね(笑)。
昔はみんな貧乏でセーターなんか穴の開いたの着て・・・
編み直しで解いて 両手に毛糸を持たされてくるくるして
ました。寒くてあかぎれだらけでしたわ(泣)。

感謝・感謝・・・忘れたらあきまへんね!!

Commented by yoshi550ojin at 2016-01-27 11:13
CARRERAはん  毎度(^^♪

聖人君子になろうと思って・・・(爆)。

馬鹿な話題ばかりではねぇ(笑)。

少しは見習ったら・・・爆


Commented by yoshi550ojin at 2016-01-27 11:16
shiro-cameleonさん  おはようさんです(^^♪

こういう話題もいいですよね。昔はこんな事 しょっちゅうでした。

それが・・今や・・・・情ない!!


Commented by yoshi550ojin at 2016-01-27 11:20
bassさん  毎度(^^♪

昔はみんなこんな経験してますよね。
卵だけなら可愛いくらい・・ニワトリそのものを
取って食った奴もいましたからねぇ!!
ひもじい時代を忘れてはいけません!!

感謝・感謝の日々です(笑)。


Commented by Ojin様の友 at 2016-01-27 19:43 x
おはこんばんちは~~m(__)m
タマゴで思い出しますが、むかしスーパーマーケットがまだ無った頃、町の市場の卵屋さんではタマゴ一個づつ売ってましたよね?
売る時は一個づつ電球に照らしてから新聞紙に包んで売ってましたわっ!
貧乏な我が家は週に一度、家族4個買うのがやっとでしたが、いまでもスーパーの特売で1パック(10個)¥90を嫁と二人で早朝から並んで買ってます(赤タマゴだった時は抱き合って万歳して大喜びしています)トホホッ!

ではまた・・・・・連日の雪かきであちこち痛いですわっ!
Commented by yoshi550ojin at 2016-01-28 07:32
若ポル殿   毎度(^^♪

玉子ほどずーーっと値段の変わらん物はないですねぇ!!
優等生な食べ物です。赤玉は貴重のような気がしましたが・・
あれは餌でなんとでもなると業者がいってましたわ(笑)。
安い玉子は安い餌で作られていますから
あまり安い玉子は買わないように・・・

玉子も一個ずつ 醤油・味噌・・量り売り・・・懐かしい
ですねぇ!! 

もう雪は無いでしょ??  それより断水は?? 大丈夫???



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